こんにちは、河野祐亮ジャズスクール運営です。
この記事では、これからジャズピアノを始めてみたい方、あるいは独学で基礎を学びたい方に向けて、
最初につまずきやすい「メジャースケール」と「五度圏(Cycle of Fifths)」を、できるだけわかりやすく解説します。
本内容は、代表・河野が解説した動画をもとに再構成したものです。
理論の全体像を動画で理解するもよし、記事でゆっくり復習するもよし。
どちらの形でも、ジャズ理論の最初の一歩をしっかりつかんでいただけます。
実際のレッスンでも、ここで紹介する内容は丁寧に扱います。
難しそうに見える部分も、順序立てて学べば誰でも理解できる内容です。
ジャズを学ぶとは「言語」を学ぶこと
ジャズの学習は、単なる理論の暗記ではありません。
それは、音で会話するための「言語」を学ぶプロセスです。
たとえば、英語を学ぶときに「文法」や「単語」を理解するように、
ジャズにも共通の“文法”と“語彙”があります。
その出発点となるのが「スケール(Scale)」と「コード(Chord)」です。
ジャズはアメリカで生まれた音楽。
そのため理論用語や概念も、英語をベースにしています。
“スケール”“コード”という言葉に早いうちから慣れておくと、その後の学習がスムーズになります。
スケールとは何か:音の階段をつくるルール
「スケール(Scale)」とは音の並び方、つまり“音の階段”のことです。
音階の種類によって、階段の段差(音程)が異なります。
代表的なスケールには、次のようなものがあります。
- メジャースケール (Major Scale)
- マイナースケール (Minor Scale)
- ディミニッシュスケール (Diminished Scale)
- オルタードスケール (Altered Scale)
このうち、すべての音楽理論の中心にあるのが「メジャースケール」。
クラシックでもポップスでも、音楽理論の共通言語と言える存在です。
メジャースケールの絶対ルール
ルール① 音の順番は崩れない
メジャースケールには一つの絶対的ルールがあります。
それは、音の並び順(ド・レ・ミ・ファ・ソ・ラ・シ・ド)が固定されていることです。
どの音から始めても、この順番自体は変わりません。
C Majorなら白鍵だけ、F Majorならシに♭、G Majorならファに#。
つまり、“どの音からスタートするか”だけが変わるわけです。
ルール② 調号(#・♭)を瞬時に把握する
音の出発点が変わると、使用する黒鍵(#や♭)の位置が変わります。
この黒鍵の数と位置を示すルールが「調号(key signature)」です。
例:
- C Major → 調号なし
- F Major → ♭が1つ(シに♭)
- B♭ Major → ♭が2つ(シ・ミに♭)
- G Major → #が1つ(ファに#)
- D Major → #が2つ(ファ・ドに#)
このルールを頭の中で瞬時に把握できるようになることが、
ジャズ理論をスムーズに学ぶ上での最初の関門です。
当教室では、五度圏(Circle of Fifths)を使って、
すべての調号の法則を“パターン化”して覚えるトレーニングを行います。
五度圏とは:調号の「地図」
五度圏(Cycle Of 5th)とは、完全五度下の音に進んでいく円形の図です。例えばC(ド)の次は「1ド…2シ…3ラ…4ソ…5ファ(=F)」と五個下の音を数えて次に進んでいきます。(実際の図は動画をご覧ください)
今回はこの五度圏を使って、時計のように回すことで各Major Scaleが♭や#が一つずつ増減していく仕組みを視覚的に理解していきます。
♭系の流れ(右回り)
| スケール | ♭の数 | ♭がつく音 |
|---|---|---|
| C Major | 0 | なし |
| F Major | 1 | シ |
| B♭ Major | 2 | シ・ミ |
| E♭ Major | 3 | シ・ミ・ラ |
| A♭ Major | 4 | シ・ミ・ラ・レ |
| D♭ Major | 5 | シ・ミ・ラ・レ・ソ |
→ ♭は「シ → ミ → ラ → レ → ソ → ド」の順に増えます。※この順番も五度圏のB(シ)から順番通りになっています。
#系の流れ(左回り)
| スケール | #の数 | #がつく音 |
|---|---|---|
| C Major | 0 | なし |
| G Major | 1 | ファ |
| D Major | 2 | ファ・ド |
| A Major | 3 | ファ・ド・ソ |
| E Major | 4 | ファ・ド・ソ・レ |
| B Major | 5 | ファ・ド・ソ・レ・ラ |
→ #は「ファ → ド → ソ → レ → ラ → ミ」の順に増えます。※五度圏のF(ファ)から左回りになっています
五度圏を理解すると、どのキーでも瞬時にスケールを構築できるようになります。
これは、ジャズのアドリブや移調演奏の基礎力に直結します。
練習課題:12キーを頭で描けるようにする
ここまで理解できたら、次の練習を試してみましょう。
質問:
「B♭メジャースケールは?」
→ ♭が2つ(シとミ)
質問:
「Aメジャースケールは?」
→ #が3つ(ファ・ド・ソ)
このように、12すべてのキーについて調号の数と位置を即答できるようにするのが、最初の目標です。
最後に:理論は音を自由にするためのもの
もしかしたら「理論=堅苦しい」と感じ方もいるかもしれませんが、
実際には理論を知ることで演奏が自由になります。
- なぜこの音を弾くのか
- なぜこの響きになるのか
を理解すると、感覚的な演奏が一気に深まります。
理論は「制約」ではなく、「自由にするための道具」です。
独学に行き詰まったら・・・是非無料体験レッスンへお越しください
「スケールはわかったけど、どう演奏に使うの?」
「独学でやってみたけど続かない…」
そんな方にこそ、まずは無料体験レッスンをおすすめしています。
河野祐亮ジャズスクールでは、メジャースケールの理解を出発点に、
アドリブやコードワークへと一歩ずつ導くカリキュラムをご用意しています。
是非お気軽にお問い合わせください。
